こんにちは。マレーシア・サバ州で活動中のJunです。
マレーシアは西のマレー半島と東のボルネオ島に分かれていますが、サバ州はボルネオ島側に属します(図1)。
熱帯地域の国ということで、日本では見られないような動植物が多く見られます。
そこで、
今回はマレーシア国内で特に関わりの深い植物である「アブラヤシ」(写真1)について紹介しようかと思います。
(写真1 アブラヤシ)
先ずアブラヤシとは何かといいますと、ヤシ科の植物であり樹木ではありません。
サバ州を始め、マレーシア国内のあらゆる場所で植えられています。
アブラヤシからパーム油の元となる実が収穫できます。(写真2)
(写真2 トラックに積まれるアブラヤシの実)
パーム油の生産量ですが、2021年時点で約1800万tであり世界2位です。
世界1位はインドネシア(約4900万t)で、この二か国だけで何と世界の9割近くをシェアしています。
アブラヤシから取れるパーム油の用途ですが、基本的には食用油として使用されます。
マレーシアでは揚げ物料理(写真3、4)が特に多く、全てカロリー高なので健康面で気を付ける必要があります。
また、食材以外にも洗剤、燃料用ペレット等に利用されています。
(写真3、4 市販されているパーム油 パーム油を使用した揚げ物料理)
さて、アブラヤシの植林は熱帯雨林の減少につながると聞いたことがある人がいるかとは思います。
これについての真偽ですが、概ね正解です。
アブラヤシは植林後、5年経過すると約20~30年間、実を採取することができますが、その後、伐倒・放置されます。
伐倒理由について、アブラヤシの背丈が高くなり、
人力での採取が難しくなったという内容であり、機械を使えば採取自体は可能です。
放置されることの問題として、土壌中で分解される際に、成長に必要な栄養素が使用されてしまいます。
このため、植林が上手くいきません。
故に、新たな土地の開墾をせざるを得なくなり、熱帯雨林の減少につながっていきます(写真5)。
(写真5 アブラヤシ 放置されている廃材が目立つ)
そんなアブラヤシですが、
廃材を活用した製品(燃料用ペレットやバイオプラスチックなど)の研究・開発が進んでいます。
現在、マレーシア政府と日本が共同で研究しており、
その技術が近い将来ベンチャー企業に受け継がれることになっています。
マイナスイメージの大きいアブラヤシが今後有効活用されることを願っています。
こちらの記事は2022年度3次隊(マレーシア/環境教育)松井絢平さんに寄稿いただきました。
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