ナマステ! ネパール東部・フィッカル在住のchandraです
僕はネパールで教育に関わる活動を行っているのですが、インターネットで、
「 ネパール 教育 」 と調べると、
・公立の学校は教育の質が良くない
・先生が一人も来ず、教室に生徒しかいない日がある
・私立校は英語で授業、公立校はネパール語で授業
など、古い情報を転用した記事が多く見られます。
そこで、今のネパールの教育の実情を紹介します。
ネパールの小学校・中学校・高校
ここでは日本の小学校・中学校・高校のような学校の区分をまとめていきます。
ネパールにある学校の区分としては、
①初等学校(1~5年生)
②下級中等学校(6~8年生)
③中等学校(9・10年生)
④上級中等学校(11・12年生)
があります。これらはすべてネパール語の学校名を僕が任意で訳したものです。
日本とネパールの学校を、年齢とともに比べると、
のようになっています。
国の政策として12年間の一貫教育も進められており、1~8年生までの学校や1~10年生までの学校なども多いです。
ただし、農村部では小規模の①初等学校しかない場合も多く、高度な教育を受けるために遠くの学校へ通わなければならない状況は依然としてあります。
数十年前まで、ネパールでは③中等学校の10年生を終えると修学とされ、その後に大学に進学する仕組みがありました。
ただ、諸外国では12年をもって修学とすることから、④上級中等学校が設置されました。
そのため、④上級中等学校は「+2」と表されることも多く、「プラス・トゥー」、あるいは「カレッジ」と呼ばれます。
学校ごとに教育、マネジメント、法律、科学、コンピュータなど専門のコースがあり、自分の学びたいコースがある学校に通わなくてはなりません。
フィッカルにある公立校
具体的な例として、僕の住むフィッカルにある公立の学校は1~12年生までの学校です。
人数を見てみると、
①初等学校に相当する1~5年生・・・1学年10~30名の規模です。
②下級中等学校に相当する6~8年生・・・1学年30~50名の規模です。
地元に初等学校しかないため、1時間歩いて通う生徒もいます。
③中等学校に相当する9・10年生・・・1学年100~120名の規模です。
ここでも同様に8年生までは地元の学校に通っていた、遠方から通う生徒もいます。
④上級中等学校に相当する11・12年生・・・1学年120名の規模です。
フィッカルの学校には、教育、マネジメントなどのコースがあるため、他の地域から下宿して通う生徒、1度仕事を辞めてから通う生徒もいます。
残念ながら、フィッカルでは、10年生を終えて科学やコンピュータなど、いわゆる理系のコースに進学するためには他の地域にある学校へ進学するしかありません。
参考:外務省のHP
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/world_school/01asia/infoC10900.html
ネパールの教育 ココがスゴイ!! 人の温かさ
ここまではやや堅い話が続いてしまったので、少し見方を変えて、ネパールの教育の良いところをまとめていきます。
ネパールに来るにあたり、途上国 = 治安が心配 という気持ちが強かったのですが、盗難や強盗など心配なく生活できています。
それ以上に、道がわからなくて尋ねたとき、またお店で買い物をするときなどとても親切な人にたくさん出会ってきました。
また、街中を歩く男性同士が手をつなぐ姿に驚くことや、小さな子ども同士が手をつなぐほほえましい姿をよく見かけます。
そこで、この人の温かさはどこから生まれたのだろう・・・?と考えてみました。
①留年制度
ネパールでは初等学校から(1年生から) 留年制度があります。
昔は学習面での留年もあったようですが、今は出席の不足が主な理由のようです。
留年制度に加えて、日本のように一斉に学校に入学することが義務付けられていません。
日本では満6歳で小学校に入学しますが、ネパールでは1年早く、満5歳から初等学校に入学することができます。
ただし、家が学校から遠く、一人で通うことが困難となる場合など、6歳、またはそれ以上の年齢になってから学校に通い始めることもあります。
そのため、同じクラスでも異なる年齢の生徒が混ざっていることがあります。
②多民族・多文化
ネパールの国内には多くの民族が独自の文化、言語を持って共存しています。
地域のお祭などでは子どもたちが自分の民族の衣装を着て踊ることも多いです。
③距離感の近さ
ネパールでは、年上の男性を「ダイ」、女性を「ディディ」、
年下の男性を「バイ」、女性を「バイニー」と呼ぶ習慣があります。
そのため、学校でも、先生が離れたところにいる男子生徒を「おい!そこのバイ!」と呼んだりします。レストランやお店でも、年上に見える女性に「ディディ」と声をかけることが一般的です。
名前を知らなくても気兼ねなく話すことができるので便利なのですが、子どもたちの様子を見ていると、誰と誰が実の兄弟であるかわからないことが多いです。
それくらいに距離感が近いです。
年上が年下の面倒を見ることが当たり前のような感覚もあるので、上級生が下級生の手を引いて学校に行く姿や年齢も体格も異なる子どもたちが一緒に遊ぶ姿も見かけます。
①の留年制度や②の多民族・多文化など、「自分と違う人が周りにいても当たり前」という他者を認める感覚と、③の距離感の近さから親切な人が多いのではないかと思います。
やや長くなってしまうので、次回に続きます。
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