ナマステ! ネパール東部・フィッカル在住のchandraです
前回に引き続き、ネパールの教育の実情を紹介します!
今回とりあげるのは
・学校の教育内容
・英語教育
です!
学校の教育内容
おさらいですが、ネパールには4つの学校の区分があります。
教科・科目
10年生までの基本科目はネパール語、英語、数学、理科、社会、健康、コンピュータなどがあります。
学校により異なりますが、教育や総合なども用意されています。
また、中等学校の9・10年生には選択科目も用意されています。
校時
フィッカルにある学校、また他の地域の学校の様子を聞いたところ、
1~10年生は40分の7時間授業が多かったですが、40分の8時間授業の学校もありました。
フィッカルの学校では1~5年生は40分の6時間授業です。
11・12年生は40分の学校もあれば50分の学校もありました。
一般的に、11・12年生は朝6~10時まで、1~10年生は10~16時までとなります。
チャイムは用務員さんが手動で鐘を鳴らします。
また、多くの学校で授業間に休み時間を設けていません。
1つの授業の終わりの鐘と、次の授業の開始の鐘が一緒になっています。
休み時間がない状況は、僕がネパールに来てから首都カトマンズで通った語学学校でも同様でした。
設備
教室は3~4人掛けのベンチとホワイトボードを使うところが多いです。
窓にはグリル(鉄格子)があり、ガラスが入っておらず、木や鉄の扉がついていることが多いです。
室内に電灯がない学校も多いです。
教室以外の設備は学校により異なりますが、図書室、理科室、コンピュータ室がある学校もあります。
英語教育
ネパールには多くの部族があり、ネワール族はネワール語、ライ族はライ語のように固有の母語をもちます。
そのため、国内の共通言語としてはネパール語が話されています。
日本国内には約8万人のネパール人が生活するようですが、少し調べたところ、日本の大学でネパール語を専門とする学科は無いようです。
ネパールに行くためにはネパール語ができないと・・・
と思ってしまいますが、お店で働く人、若い人には英語が通じます。
そこで、ネパールの英語教育についてまとめていきます。
公立校と私立校
ネパールでは日本と同様に公立の学校と私立の学校があります。
ネパールで公立の学校はネパール語で(政府の)という意味の「サルカリ」と呼ばれます。
一方、私立の学校は「プライベート」「ボーディング」「ブリティッシュ」など様々な呼び方がありますが、大きな違いはありません。
日本と同様に、公立校は学費がかからず、私立校は学費がかかります。
ただし、公立校でも9年生以降の授業料は女子生徒、ダーリット(昔のカースト制度での不可触民)は無料、他は有料となります。
カースト制度が廃止された今でも、授業料の関係からか、学校内の生徒数集計には男女の区分とともに民族、ダーリットの区分が残っています。
参考:外務省のHP
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/world_school/01asia/infoC10900.html
教科書
ネパールには国定教科書と出版社が発行する教科書があります。
出版社が発行する教科書はすべて英語で作られており、主に私立校で採択されています。
国定教科書も国語(ネパール語)の教科を除き、ネパール語版・英語版の2種類が出版されています。
2020年から日本でも小学校で英語が教科化されるようですが、ネパールのように検定教科書が英語で作られてはいません。
ネパールの教育省の機関であるCurriculumDevelopCentreのHP https://moecdc.gov.np/ にpdf版がありますので、興味のある方は御覧ください。
私立校の英語教育
日本では私立の学校に独自の方針やユニークな授業があっても、公立の学校と比べ、履修する科目や学習する内容は大きな違いはありません。
ただし、ネパールでは公立・私立で教育内容が大きく異なります。
私立の学校では、日本の「国語」に相当する「ネパール語」を除く全ての教科・科目の授業が英語で行われます。
教科書も、国定の教科書だけでなく出版社が発行する教科書を使うところが多いです。
各民族の母語を使う場面は減ってきているようですが、私立校に通う場合、
・家では母語
・学校では英語
・ネパール語は国語の授業だけ
・上級中等学校、大学までの教育はすべて英語
・就職してからも英語
のように、なかなかネパール語を使うことの少ない人もいるようです。
公立校の英語教育
公立校は基本的にはすべての授業がネパール語で行われます。
英語の授業も日本の英語の授業と同様に、ネパール語で説明されることが多いです。
ただし、国の政策として英語教育に力を入れていることもあり、市役所や教育委員会の判断で、英語で授業を行う学校も増えています。
しかしながら、中等学校を終えると、すべての授業が英語でなされること、また国際社会で活躍するために初等学校から私立に入れる家庭も少なくありません。
また、知人の話によると、「公立校に通わせることは貧困の証」という考えをもつ人もいるようです。
私立校は数も多く、僕の家から半径2km圏内に公立校は1校しかありませんが、私立校4校もあります。
ネット記事やブログでは「公立校では教育の質が悪く、教師が学校に来ず、授業が行われない」というような表現が見られます。
確かに、当日欠勤の教員がいるために空き時間ができてしまうこともあります。
しかしながら、ネパールの体制として国、州、郡、市、ワード(市の中に設けられた小さな議会)というそれぞれの区分で選挙があること、また地域単位で教育の質の向上を目指して様々な工夫がなされています。
フィッカルにある公立校は、3年生まではネパール語以外の授業をすべて英語で行っています。
ネパール中のすべての学校を見ることはできませんが、英語教育やICT教育など、熱心に力を入れる様子も見受けられます。
次回、日本のセンター試験のようなネパールの統一試験、SEEとSLCについて紹介します。
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