ネパールの教育③ SLCとSEE

D-ライフスタイル

ナマステ! ネパール東部・フィッカル在住のchandraです

 

前回に引き続き、ネパールの教育の実情を紹介します。

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今回とりあげるのはネパールの統一試験についてです。

 

ネパールの進級・進学

 

おさらいですが、ネパールには4つの学校区分があります。

 

 

国の方針としては初等学校の1年生から留年があります

 

また、それぞれの学校を修了する時には統一の試験を受験し、その結果によって進学先が左右されることもあります。

 

国の政策として、4つの学校区分を1~8年生までの基礎教育9~12年生の中等教育としていきたいようですが、10年生修了時の試験によって11・12年生の学校を選択するため、中等教育の4年間を一貫した制度にはなっていません。

 

5年生、8年生、10年生の3月に試験が実施され、8年生の試験は郡ごとに、10年生の試験は州ごとに、統一して実施されます。

日本の地域区分に置き換えると、8年生で県ごとの試験、10年生で地方ごとの試験があるイメージです。

これらの問題の作成には国の機関も関わります。

11年生・12年生はそれぞれの学年修了時に試験があります。

 

SLCとSEE

 

ネパールの教育についてインターネットや書籍で調べると、「鉄の門(iron gate)」という言葉を目にすることがあります。

これは10年生修了時に行われる試験を指す言葉です。

2016年まで、この試験は「School Leaving Certificate」、(通称SLC、学校教育修了試験)と呼ばれていました。

かつて、ネパールでは初等・中等教育が10年間とされていました。

そのため、日本の「高校卒業認定試験」と同じような扱いでSLCに合格することで高校卒業と見なされていたのです。

また、SLCの結果次第で将来が決まってしまうことから、鉄の門と呼ばれていたようです。

 

現在の12年間の教育に移行してしばらく経つのですが、2017年になってようやく名称が

Secondary Education Examination」(通称SEE、中等教育修了試験)となりました。

また、このとき、8年生修了時の試験も「District Level Examination」(通称DLE、各郡統一試験)から「Basic Education Examination」(通称BEE、基礎教育修了試験)と名称が変更されました。

 

SLCとSEEの違い

 

学校の先生に違いを尋ねても、名称の変更以外の詳しい変更を理解していないこともあります。

SEEに代わっても、試験で良い成績を収めないと、希望する上級学校へ進学できなくなる点は一緒です。

また、試験科目は次の通りです。

 

 

 

それぞれの試験で試験結果の捉え方が異なるのでまとめていきます。

 

SLCの試験結果

 

まず、科目ごとに合否が判定されます。

この時に不合格の教科が2つまでの場合、追試を受けることができます。

ただし、追試も含めて一度に全科目で合格しないと試験に合格できず、卒業認定となりません。

合格基準はどの科目も100点中32点で、追試の場合は35点となります。

合格者は、全科目の合計点に応じてグレード分けされます。

 

 

上級中等学校(11・12年生、以降カレッジとします)への進学には、合計得点のみが利用されます。

そのため、進学希望者を成績順に並べ、上位者のみが希望するカレッジに進学することができました。

私立の学校や進学塾ではDistinction1st Divisionのグレードを獲得した生徒を顔写真付きで貼り出すところもありました。

このような仕組みのSLCでしたが、2000年頃までの統計では全国平均で合格率が30~50%とかなり厳しい試験でした。

そのため、10年生に校内試験を実施し、合格の見込みのある生徒以外はSLCの試験を受けさせない学校も合ったようです。

また、都市部と地方の合格率に差が出てきたこともあり、SEEへと変更されました。

 

SEEの試験結果

 

SEEでは合格・不合格の判定がなくなりました

科目ごとに、得点に応じたグレードとGPA(Grade Point Average)が評価されます。

2015・2016年には移行期間としてSLCの名称のまま、このような評価方法が用いられました。

カレッジに進学する際に、専攻ごとに必要な評価やGPAが決まっています。

例えば、一番条件の厳しい「科学」専攻では、8科目のGPAの平均が2.0を超えなければなりません。

さらに、グレードも要件が決まっています。

 

 

 

例1はいわゆる理系の生徒、例2は得意も苦手もない生徒の例です。

例1の生徒はD+が多いのですが、要件を満たすため科学、教育のどちらにも進学することができます。

例2の生徒は数学、理科がCであるため、科学分野には進学することができません。

 

合格・不合格がなくなった分、進学する選択肢が広がったと言えます。

ただし、カレッジに入学するためにはGPAの平均が1.6、つまり平均してCを取らなければなりません

DやEを取った場合、SLCのときと同様に2科目以内であれば追試を受けることができます。

また、大学進学の際にはカレッジでの専攻に沿った学部にしか進学できません

そのため、医学や薬学、科学を学ぶためにはカレッジでも医療や科学を専攻しなければならず、SEEの結果が職業選択に影響することは変わっていません。

 

SEEに残る問題点

 

SLCもSEEも試験結果を標準化(平均点やばらつきの考慮)がなされていません。

また、すべての州で同じ日程で行うことが基本となっていますが、問題は州ごとに異なります

そのため、たまたま試験問題が難しい年や州で平均点が低くなっても、そのままグレードやGPAが評価されてしまいます。

さらに、追試の対象が全員ではなくDやEに限られていることから、D+を取ってしまうと挽回できないことも問題となっています。

 

次回、試験の内容やネパールの暦について紹介します。

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この記事を書いた人
chandra

ネパールで理科教育の支援に奮闘中の30歳。特徴:丸顔。ネパール人と間違えられると少し喜ぶ。

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